アガリクスとは
執筆者:元井章智
慶應義塾大学SFC研究所所員
東京薬科大学免疫学教室
日本は長寿の国です。高齢者でも健康で生き生きとした人生を送っている人が多いのは、毎日の健康管理をしっかりと行っているからでしょう。アガリクスは、病院で受ける保険診療をサポートする補完代替医療の分野で多くの人たちに愛用されています。そんなアガリクスについて解説してみたいと思います。
アガリクスは補完代替療法の代表サプリ
「今の健康を維持して充実した毎日を送りたい」とお考えの方などが愛用している健康食品が、アガリクスです。アガリクスは、西洋医学の治療を行っている一般的な病院やクリニックでの保険診療をサポートするための補完代替療法で、もっとも使用頻度の高い健康食品・サプリメントのランキング1位です。
厚生労働省の助成金を活用して行った調査では、健康を考える人たちがよく利用すると言われているプロポリスやAHCC(シイタケ菌糸体)、漢方薬などを抑えてアガリクスがN0.1といった調査結果が出ています。
また、海外でもアガリクスは「5つのメジャーなキノコ(=Five Major Mushroom)」の代表格として広く補完代替医療の分野で利用されています。
(その他は、霊芝、冬虫夏草、カワラタケ、マイタケ。最近、名前を聞くようになったフコイダンやブロッコリー抽出成分などは、データが非常に少なく安全性・有効性が確立されていないため、海外などではほとんど利用されていません。)
引用論文:Intergr Med (Encinitas)2014 Feb; 13(1): 32–44.
それでは、補完代替療法の代表的なサプリメント・健康食品として有名なアガリクスとは、どのようなものなのでしょうか。
アガリクスとは、南米ブラジルを原産国とするキノコです。なかなか手に入らないキノコで、原地では「太陽のキノコ」「神のキノコ」「幻のキノコ」といった名前で呼ばれていました。
アガリクスの学名は「アガリクス・ブラゼイ・ムリル」です。国際薬用キノコ学会の提言で、「アガリクス・ブラジリエンシス」という学名や、その他に「アガリクス・サブルフェセンス」なども使用されています。
また、アガリクスはキノコの一種なので、産地や栽培方法によって性質が違ってきます。
実際に、国立健康・栄養研究所のデータベース「健康食品の安全性・有効性情報」には、「アガリクスは、菌株、栽培条件、産地により、その特性や含有成分が異なる」 と明記され、厚生労働省からは「原材料や製品でかなり品質に差異がある」 と注意喚起されています。
それでは、アガリクスの栽培方法と産地があるのかを見ていきましょう。
アガリクスの栽培方法の違い
補完代替療法で使用頻度ランキング1位のアガリクスの原産国は、ブラジルです。アガリクスは南米に位置するブラジルの中でも、サンパウロ郊外にあるピエダーテ地方に自生していました。
(アガリクスが自生していたブラジル サンパウロの近郊のピエダーテ地方)
現在は天然のアガリクスはほとんど採れず、最も天然に近いとされるのが【露地栽培アガリクス】です。栄養成分を豊富に含むことから、多くのアガリクスメーカーが露地栽培に挑戦しました。
しかし、苛酷な自然環境の中、太陽の光の下で行う露地栽培は非常に難しく、ほとんどのメーカーが失敗に終わりました。そのため、現在販売されているアガリクス製品のほとんどはハウス栽培アガリクスです。
アガリクスのハウス栽培
それでは、アガリクスのハウス栽培はどのように行われているのでしょうか?
一般的に「ハウス栽培」と聞くと、イチゴ栽培に用いるような下のビニールハウスを想像する方が多いのではないでしょうか。
(一般的なハウス栽培のイメージ)
しかし実は、アガリクスのハウス栽培は、日光の当たらない暗室で行われます。湿気も多い真っ暗な部屋で栽培されたアガリクスの大きさは、こぶりなものが多いです。
(日光を遮った暗所で行われるアガリクスのハウス栽培)
(人工的な環境下で栽培されたこぶりなハウス栽培アガリクス)
天然に最も近い「露地栽培」アガリクス
ほとんどのアガリクスメーカーが露地栽培を諦めてハウス栽培を行う中、私たちは、栄養価の高い露地栽培にこだわり続け試行錯誤を繰り返しました。
その結果、1.アガリクスの原産地ブラジルの気候、2.栄養成分が多く含まれる特殊な堆肥、3.生命力の強い特殊な菌株「キング・アガリクス21=KA21株」の3つ要素をそろえることで、はじめて露地栽培が可能となりました。
(露地栽培に必要な栄養成分が多く含まれる堆肥)
(露地栽培が可能な生命力の強い特殊な菌株KA21)
現在、露地栽培アガリクスは私たちのブラジル農場以外ではほとんど行われておらず、現地ではその見た目や、栄養価が他のハウス栽培アガリクスとは大きく異なることから【キングアガリクス】と呼ばれています。
(ブラジルで露地栽培されたアガリクス=キングアガリクス)
【動画】キングアガリクスがどのように露地栽培されているかなど、詳しくはこちらの動画をご覧ください↓
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露地栽培キングアガリクスとハウス栽培の違い
露地栽培したキングアガリクスと一般的なハウス栽培アガリクスを比較すると、その際は歴然です。
(サイズの比較 左:露地栽培キングアガリクス、右:ハウス栽培アガリクス)
栄養面で露地栽培したキングアガリクスと一般的なハウス栽培アガリクスを比較すると、主要成分であるβ-グルカンは1.5倍、世界的に注目を集めている栄養素であるビタミンDも非常に多く含み、圧倒的な差で露地栽培に軍配があがっています。
【動画】露地栽培したキングアガリクスと一般的なハウス栽培との比較は、こちらの動画をご覧ください↓
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アガリクスの産地の違い
続いてアガリクスの産地の違いについてご紹介いたします。
アガリクスは地中の栄養素をたっぷりと吸収して育つといった特長があり、産地の土壌の影響を大きく受けます。具体的には、土地が肥えている場所で栽培すると栄養価が高くなり、一方の土壌汚染などの影響がある土地で栽培すると有害物質含むアガリクスとなります。
アガリクスの代表的な産地としては、原産地ブラジルの他に中国産、日本産のでそれぞれご説明いたします。
安価な中国産アガリクス
現在、5,000~10,000円で販売されている安価なアガリクスのほとんどが中国産です。
しかしながら、中国では昨今、急速な近代化の影響によりPM2.5による大気汚染や、工場排水による水質汚染、土壌汚染が深刻です。
(PM2.5による深刻な大気汚染 日中でも大気汚染により薄暗い日があります)
大気汚染、土壌汚染の他に、日本に農作物を出荷する際にホルマリンを大量に使用するケースもあります。
実際に、粗悪な中国産アガリクスが以前、肝機能障害などの引き起こしたこともありますので、安全性の面から安価な中国産はおすすめできません。
安全性の高い日本産
日本では、土壌の安全性に関する検査やアガリクスそのものの品質管理などは行き届いているため、安全性の高いアガリクスが栽培されています。しかし、ブラジルの気候とは違うので、アガリクスの露地栽培は行えません。
また、同じ農地で繰り返し栽培を行うことから農作物の栄養価が年々下がってきています。
実際に上の図は大根の栄養価を昔と比較していますが、カルシウムやビタミンCの含有が大幅下がっています。
日本産アガリクスは安全面ではまったく問題ありませんが、残念ながら栄養価は低くなっています。
アガリクスの原産地ブラジル産
それでは、原産地ブラジルでは、どのような環境でアガリクスが栽培されているかをご紹介いたします。
ブラジルは自然豊かな国で、アマゾン川流域には未開の地が広がっています。その広大な未開の地は土壌に含まれる栄養分が豊富で、化学薬品などの汚染とはまったく無縁です。そんな大地の恩恵をいっぱい溜め込んで、アガリクスが栽培されています。
(アガリクスの原産地ブラジルの大自然)
(ブラジル特有の赤土には鉄分などミネラルが豊富です。写真は2019年3月に撮影)
【動画】ドローンで撮影したブラジルの農場周辺の様子↓
VIDEO
私たちの農場周辺には工場などは一切なく、酸性雨などの影響もまったくない手つかずの大自然が広がっています。
また、先ほどもご紹介しましたがアガリクスは地中の栄養素をたっぷりと吸収して育つため、同じ土地で連作すると栄養価が下がってしまいます。そのため、私たちは栄養価の高いアガリクスをお届けするために、常に新しい農地を開墾してアガリクスを栽培し、一度栽培を行った農地は2度は使用しません。
(アガリクスを栽培した後にトウモロコシなどを栽培しています)
(常に新しい農地を開墾して行われるキングアガリクスの露地栽培)
ブラジルの肥沃な大地で一度きりしか収穫を行わないキングアガリクスと、連作を繰り返す日本産のアガリクスを比較するとその際は歴然です。
ブラジル産のキングアガリクスは、日本産に比べカルシウムは26倍、銅は10倍、鉄分、セレンなどを多く含みます。(ビタミンDの違いは、日光を浴びて育つかどうかによるもの)
アガリクスメーカーの研究実績も確認が必要
ここまで、アガリクス製品を選ぶ際は、ブラジルで露地栽培されたアガリクスを使用したものを選ぶべきとご紹介いたしました。しかし、それだけでは高品質のアガリクスを手にすることはできません。
実は、アガリクス製品の中には「効果がない」といった報告がされた製品や、有効成分量が低くなってしまうような加工を行った製品もあるからです。具体的には、アガリクスをエキス化した製品や、主成分のβ-グルカンを低分子化したような製品です。
(アガリクスをエキス化すると主成分のβ-グルカンの量が著しく減ってしまいます。)
*エキス化による主成分減少の引用論文:Biol.pharm.Bull.24(7)820-828(2001)
*エキス化製品に効果がなかったとする論文:Int J Urol. 2010 Jun;17(6):548-54
*β-グルカンの低分子化による作用減弱:Chem. Pharm. Bull 38(2)477-481(1990)
アガリクスをエキス化したり、主成分であるβ-グルカンを低分子化すると、有効成分量が下がってしまったり、効果が無くなってしまうことは1990年、2001年と20~30年近く前に発表されています。実際に、私たちはこのような研究結果を受けて、エキス化などの加工は行わず、アガリクスそのままを原料として使用しています。
しかし、残念ながらアガリクスメーカーの中には、製品に関する研究開発をほとんど行わないメーカーがあり、現在でも効果がなかったり、主成分が減ってしまっている製品が販売されています。
そのため、アガリクス製品を選ぶ時にはメーカーがしっかりとして研究を行っているかどうかを必ず確認して下さい。
私たち、東栄新薬株式会社はアガリクスの専門メーカーとして20年以上の研究実績があり、これまでに東京薬科大学をはじめ、東京大学、慶應義塾大学といった先進機関との共同実績があります。
東栄新薬株式会社の研究実績
共同研究実績
東京大学食の安全研究センター
慶應義塾大学SFC研究所
東京薬科大学免疫学教室
麻布大学獣医学部
順天堂大学医学部
近畿大学医学部
名古屋市立大学大学院
国立長寿医療研究センター
(20年以上、キング・アガリクス21=KA21株の共同研究を行っている東京薬科大学免疫学教室。キノコ研究では世界的に権威ある研究室)
研究成果は、国内のみならず国際学会で発表し、研究開発力の指標となる国際論文の発表数はアガリクスメーカーの中で最多となる28本となっています。
国内学会:
日本薬学会では、東京薬科大学と共同で21年間連続で発表(2019~1999)
(2019年日本薬学会での発表の様子
左:東京薬科大学免疫学教室 田島克哉先生
中央:東京薬科大学免疫学教室 大野尚仁教授
右:東栄新薬株式会社会長 元井益郎)
その他の国内学会発表実績:
日本獣医がん学会(2019)、日本動物臨床医学会(2018)、日本獣医学会(2018、2015)、日本生体防御学会(2017)、日本医真菌学会(2016)、日本細菌学会(2013)、日本統合医療学会(2013)、日本食品免疫学会(2013)、日本予防医学会(2013)他多数
国際学会発表実績:
国際薬用キノコ学会(2017,2015,2013)
(2017年国際薬用キノコ学会での発表の様子
東京薬科大学免疫学教室 山中大輔先生)
その他の国際学会での発表実績:
国際免疫学会(2016)、欧州免疫学会(2015)、The 14th International Congress of Immunology(2010)、The 9th International Mycological Congress(2010)、International Conference on Early Disease Detection and Prevention(2010)他多数
(国際論文発表数はアガリクスメーカー最多となる28本)
補完代替療法で利用されるアガリクスの選び方
このコラムでは、補完代替療法の分野で最も多くの指示を受けているアガリクスについてご説明いたしました。
アガリクスを選ぶ際には産地、栽培方法は「ブラジル産露地栽培」を選び、アガリクスメーカーの研究実績も確認して下さい。
弊社のブラジルで露地栽培したキングアガリクス製品は、アガリクスの世界を牽引してきた弊社独自の研究開発の成果が詰まっています。毎日の健康維持や補完代替療法としてアガリクスをお探しの方は、ぜひ、弊社のキングアガリクス製品をお試しください。
(ブラジルで露地栽培したキングアガリクス)
執筆者プロフィール
元井章智
東栄新薬株式会社代表取締役社長
株式会社ケーエーナチュラルフーズ代表取締役社長
慶應義塾大学SFC研究所 所員、東京薬科大学薬学部免疫学教室 専攻
日本抗加齢医学会 会員、NR(栄養情報担当者)・サプリメントアドバイザー
PS.
私たちのキングアガリクスに人工添加物を一切加えず、キングアガリクス100%で製品化した製品が【キングアガリクス100】です。
現在、人間用、ペット用の2製品があり、それぞれ以下のサイトでご購入頂けます。
【キングアガリクス100(人間用)】
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【キングアガリクス100ペット用】
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本サイト掲載情報の元となったアガリクス・キングアガリクスに関する研究施設
●東栄新薬株式会社
アガリクスの専門メーカーとして、ブラジルで露地栽培したキングアガリクスの研究開発を行っています。キングアガリクスの研究開発を20年以上行っており、アガリクスメーカー最多となる28本の国際論文を発表しています。
日本獣医皮膚科学会賛助会員、比較統合医療学会賛助会員、日本獣医がん学会、公益財団法人 日本愛護協会会員
主な学会発表実績:日本薬学会(1996~2018)、国際薬用キノコ学会(2003、2013、2015、2017)、欧州免疫学会(2015)、国際免疫学会(2016)、日本生体防御学会(2017)、日本獣医学会(2017)、国際微生物学連合(2017)、日本動物臨床医学会(2018)、日本獣医がん学会(2019)
●東京薬科大学免疫学教室
キノコ研究では世界的に権威ある研究室
アガリクス・キングアガリクスに関する研究を20年以上行い、これまでに24本の国際論文を発表
安全性試験の他、アガリクスの主成分であるβ-グルカンに対する研究を実施
本サイト掲載情報執筆の際に引用した主な論文
N.Ohno et al.,Biol Pharm Bull,24,820-828(2001)
●東京大学食の安全研究センター
キングアガリクスが自律神経にどのような影響を与えるかを研究
本サイト掲載情報執筆の際に引用した論文
Tubone H, at el. Journal of Medicinal Food 17 (3) 295-301 (2014)
●慶應義塾大学SFC研究所
キングアガリクスが生体にどのような影響を与えるかを研究
●順天堂大学医学部
キングアガリクスの安全性などに対するヒト臨床試験を実施
本サイト掲載情報執筆の際に引用した論文
Y.Liu et al.,Evid Based Complement Alternat Med,5,205-219(2008)
●近畿大学医学部
キングアガリクスが代謝・内分泌にどのような影響を与えるかを研究
本サイト掲載情報執筆の際に引用した論文
Atusoko, N. et al. Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition(Advance Publication 2011)
●麻布大学獣医学部
キングアガリクスがウィルスにどのような影響を与えるかを研究
本サイト掲載情報執筆の際に引用した論文
Nao, E. et al. Biocontrol Science, 2017, Vol.22, No.3, 171-174
●国立長寿医療研究センター
キングアガリクスの寿命に与える影響を研究
「国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報 」
「がんの補完代替医療ガイドブック 」
編集:厚生労働省がん研究助成金「がんの代替療法の科学的検証と臨床応用に関する研究」班
監修:日本補完代替医療学会
本サイトに引用した主な論文
ホームページ内のアガリクスに関する情報は、自社発表論文(番号を赤字で記載)を含め以下の公開論文の内容を元に執筆しています。
1) S.P.Wasser et al.,Int J Med Mushrooms,4,267-290(2002)
2) RW.Kerrigan et al.,Mycologia,97,12-24(2005)
3) K.Wisitrassameewong et al.,Saudi J Biol Sci,19,131-146(2012)
4) Y.Liu et al.,Evid Based Complement Alternat Med,5,205-219(2008)
5) N.Ohno et al.,Pharm Pharmacol Lett,11,87-90(2001)
6) S.Hashimoto et al.,Int J Med Mushrooms,8,329-341(2006)
7) N.Ohno et al.,Biol Pharm Bull,24,820-828(2001)
8) D.Yamanaka et al.,BMC Complement Altern Med,14,454(2014)
9) D.Yamanaka et al.,Immunopharmacol Immunotoxicol,34,561-570(2012)
10) D.Yamanaka et al.,Int Immunopharmacol,14,311-319(2012)
11) N.Ohno et al.,Carbohydr Res,316,161-172(1999)
12) M. Motoi et al.,Int J Med Mushrooms,17,799-817(2015)
13) I. Hyodo et al., J Clin Oncol 2005; 23: 2645-54.
14) 国立健康・栄養研究所「健康食品」の安全性・有効性情報
15)Y.Adachi et al., Chem. Pharm. Bull 38(2)477-481(1990)
16) K. Yoshimura et al., Int J Urol. 2010 Jun;17(6):548-54
17) 山中大輔, 元井章智他: βグルカンの基礎研究と応用・利用の動向,10,216-226,シーエムシー出版,東京(2018)
18)G.Alena at el., Intergr Med (Encinitas)2014 Feb; 13(1): 32–44.