執筆者:元井章智(サプリメントアドバイザー NR=栄養情報担当者)
健康食品・サプリメントの分野で大変な人気があるアガリクス。その有用成分として最も知られているのが、β-グルカンと世界的にも注目を集めている栄養素であるビタミンDです。日本人が不足しがちなカルシウムや鉄分なども豊富に含まれている点も注目されています。
しかし、数あるアガリクス製品が同じ品質かというと、実はまったく違うことが分かっています。品質の良いアガリクス製品を選ぶ際のポイントを紹介しましょう。
アガリクスに含まれる成分は、タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどが上げられます。その中でも、主成分であるβ-グルカン、世界的にも注目を集めている栄養素ビタミンD、日本人が不足しがちなカルシウムや鉄分などの含有量がより豊富なことがアガリクスの最大の特徴といえます。
β-グルカンとは、キノコ類や酵母などに含まれる多糖類の一種です。分子量が大きく、体内に吸収されて有用性を発揮するのではなく、腸管を刺激してはじめて有用性を発揮するという特性を持っています。
またβ-グルカンはいくつかの種類に分かれていますが、アガリクスには、β(1-3)-D-グルカンとβ(1-6)-D-グルカンが多く含まれているといわれます。
さまざまな食品・サプリメントメーカーが、アガリクス製品を製造しています。あるメーカーでは、アガリクスのβ-グルカンを低分子化、酵素処理、細胞壁破砕などを行い、β-グルカンの分子量を小さくして製品化しています。
なぜそんなことをするのでしょう。そのメーカーによれば、β-グルカンが体内により吸収されやすくするための製造工程なのだそうです。
しかし、近年の研究では、もともと分子量が大きいアガリクスのβ-グルカンを、あえて低分子化する必要性はまったくないということが分かっています。低分子化してしまったβ-グルカンは、実際に摂取しても有用性がなかったという論文が、京都大学のグループにより発表されています。
(*Int J Urol. 2010 Jun;17(6):548-54. 京都大学のグループが発表)
世界が注目する、β-グルカンやビタミンDが豊富に含まれているアガリクスですが、栽培方法によっては、その含有量がまったく違うことが分かっています。
アガリクスの栽培方法は、大きく分けて露地栽培とハウス栽培があります。
ハウス栽培は、日光を遮断した小屋の中で行われるため、天候に左右されることなく一年中、収穫が可能です。生産コストが安いことから、日本国内はもとより世界各国で盛んに行われている栽培方法です。
(暗い小屋の中で行われるアガリクスのハウス栽培)
(人工的に栽培されたハウス栽培アガリクス)
一方の露地栽培は「天然のアガリクスに最も近い」と高く評価されていますが、過酷な自然環境の中で行われるため、栽培は非常に難しく市場にはほとんど出回っていません。現在、アガリクスが原産のブラジルで露地栽培を行っているのは弊社のブラジルの農場以外ほとんどありません。
(大自然が残るアガリクスの原産地 ブラジル)
(ブラジルの露地栽培アガリクス農場)
大自然ブラジルの自然の恵みをたっぷりと吸収したアガリクスは、傘の大きさも太さも背丈も、ハウス栽培で育ったアガリクスの5倍以上にまで生育します。この見た目同様に、栄養成分の含有量も比較にならないほど豊富です。この圧倒的な見た目の違いから、私たちは露地栽培アガリクス=「キングアガリクス」と呼んでいます。
(過酷な自然環境を生き抜いた露地栽培アガリクス)
(サイズの比較 左:ハウス栽培アガリクス 右:露地栽培キングアガリクス)
ブラジル産露地栽培「キングアガリクス」と、日本産ハウス栽培アガリクスの有用成分を比較した「日本食品分析センター」のデータによると、アガリクスの主成分であるβグルカンは約1.5倍、世界的に注目されている栄養素であるビタミンDの含有量にも大きな差がありました。
アガリクスは栽培地によっても、栄養素の含有量がまったく違います。
現在、日本国内に流通するアガリクス製品の多くは、日本、ブラジル、中国産といわれています。そのほとんどがハウス栽培のアガリクスを用いた製品です。
ここで気を付けたいのは、ブラジル産と明記されている製品であっても、その多くはハウス栽培のアガリクスを使用しているということです。ブラジルで露地栽培を行っているのは弊社以外はほとんどありません。
アガリクスに限らず、日本産の食材の安全性は、世界的にも高い評価を得ています。その点では、子どもからお年寄りまで、日本産アガリクスは安心して口にできます。
しかし、栄養価に関していえばどうでしょうか。
ブラジル産露地栽培アガリクスと、日本産ハウス栽培アガリクス製品の栄養価を比較したデータがあります。それによると、ブラジル産は日本産よりも、カルシウムが約26倍、銅は約10倍、セレンは2倍以上、鉄は1.5倍という数値の差が出ました。
ブラジル産露地栽培のアガリクスの栄養価が、どれほど高いかがひと目で分かります。
中国産アガリクスの製品も非常に多く流通しています。比較的安価で購入しやすく継続もしやすいので利用者も多いでしょう。しかし、過去には、粗悪な中国産アガリクス製品を摂取した人が、肝機能障害を発症した事例が報告されています。中国の土壌汚染や大気汚染は、世界的にも問題視されており、食への安全性にはまだ不安が残ります。
アガリクスの栽培方法や産地が異なることで、アガリクス製品の品質に大きな差があることが分かります。
アガリクス製品を扱うメーカーは数多くあります。各メーカーによって菌株などについての研究開発を行い、その研究成果は国際論文として発表します。そうした各メーカーの実績により、有用性や安全性などが確証されアガリクス製品の信頼性につながります。弊社は、国際論文数は28本とアガリクス専門メーカーで最多となります。
しかし、専門メーカーでも、こうした研究開発の指標となる論文発表数が1本もないメーカーがあるのも事実です。製品の安全性や有用性の裏付けとなるデータを持っている確かな専門メーカーの製品を選ぶことがポイントです。
アガリクス製品は、産地や栽培方法によって、有用成分の含有量がまったく違います。産地はブラジル産、栽培方法は露地栽培、そして信頼できる専門メーカーの製品を選ぶことが、品質の良いアガリクス製品を選ぶ最大のポイントになります。
執筆者プロフィール
元井章智
東栄新薬株式会社代表取締役社長
株式会社ケーエーナチュラルフーズ代表取締役社長
慶應義塾大学SFC研究所所員、東京薬科大学薬学部免疫学教室専攻
日本抗加齢医学会会員、NR(栄養情報担当者)・サプリメントアドバイザー
参考文献
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2) RW.Kerrigan et al.,Mycologia,97,12-24(2005)
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11) N.Ohno et al.,Carbohydr Res,316,161-172(1999)
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